お店の周囲(商圏)を競合の大型量販店6店に囲まれたら、どうしますか?
家電業界では普通に起きていることです。また他の業界でも近いことは起こっています。

東京都町田市の家電のお店、「でんかのヤマグチ」山口勉社長の講演に行ってきました。

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生き残りを掛けての戦いは、20年ほど前に始まりました。
山口社長が採った戦略は、安売りならね「高売り」です。
量販店の影響で、売上30%ダウンを予測し、粗利率を10年かけて10%アップすることで、収益の確保をと考えられました。結果、8年で、粗利率を10%アップを達成され、売上げも22%ダウンですみ、微増しているそうです。今も粗利率は目標以上だそうです。

売上げから粗利重視へ転換し、まず取り組まれたのが商圏を絞る込むのと同時に、顧客の絞りこみも断行されました。最終的に顧客数は1/3にまで絞りこまれたそうです。
絞り込んだお客様を徹底的に大切にし、お困りごとは何でもお手伝いするという姿勢を徹底することで、お客さまと「太いパイプ」でつながることができ、いい関係を構築されています。例えば、旅行に行くあいだ、ペットの餌やりや、植木の水やりなど「裏サービス」として、お金をいただかずに実施しています。
もっともシニア以上のお客さまが多いことから「遠くに子どもより、近くのヤマグチ」って感じです。

太い関係ができると、量販店より当然高くなる金額はどうでもよくなり、そもそもお客さまは、量販店と比較することなくヤマグチでお買い上げになるようです。

またお客さまとの関係を2本のベルトにたとえておはなしくださいました。
1本は、営業マンとのベルト、もう1本はお店とのベルトです。
優秀な営業マンほどお客さまとのベルトは強固なものになるが、そのベルトがなくなると、縁がなくなってしまいがちです。それを防ぐために、もう1本はお店とのベルトも大切にしています。具体的には、お客さまが喜ぶあらゆるイベントを実施し参加していただき、お店を意識してもらうこととまた、一定の金額以上購入されたお客さまには、社長名でお礼状をお送りするようにされています。属人的な営業になりがちな他の業界でも、参考になる考え方ではないでしょうか?

ここまでは、テレビなどでよく紹介されている「でんかのヤマグチ」のご努力ですが、実は目に見えないところでも、大変な経営努力をされています。
収益に関する数字の管理や、営業マンのモチベーションアップの施策など、細部にわたってあらゆる手段を講じられています。そのあたりは、ぜひ山口社長のご講演をおききください。実際のおききなったほうが、当然ですが、理解が深まります。

戦後から70年代までは、とにかく商品さえ確保できれば、商売になったと思います。下手をすると「売ってやっている」という姿勢のお店もあったと思います。商品の確保への努力は大変なものがあったと思いますが、今はその努力をより一層お客さまにも向け、いい関係を作り維持しないと、お店がなりたたないと思います。

山口社長が最後に、「大型量販店に囲またという外部環境の変化がなかったら、そのまま前からの商売のスタイルを継続していた。でも店が続いていたか分からない。外部環境の変化で自分も含めて社員も変わったことが良かった」とお話されました。

最近受けた研修で、「企業の命題」について議論しました。いろいろな意見が出ましたが、行き着いた結論は「永続」です。そして「不易流行」。変えてはいけないものは変えてはいけない。時代にあわせて変えなくてはいけないものは変えていくことが大事。

環境に合わせて変化した「でんかのヤマグチ」さんは、「永続」できる体質にイノベージョンできたと思います。