熊本地震の犠牲者の方々への黙祷で、勉強会はスタートしました。

テーマは、「地域を治療する」。

松阪市のみならず、救急医療の体制はどこも大変です。
ドクターのなり手不足、患者側のモラルの低いコンビニ診察、それに不適切な救急車の利用。
救急医療の体制は崩壊の危機にあります。特に松阪は交通事故も多く、さらに拍車をかけています。
今や救急医療は、医療従事者の方、救急関係者の使命感で支えられているようです。

昨年、一度救急車のお世話になりましたが、舞台裏では大変な状況になっていることをはじめて認識しました。

こうした問題には、負のスパイラルがはたらき解決策が打ち出せず、ともすると精神論で、解決しようとする場面があります。

今日の講師、いおうじ応急クリニック院長 良雪先生はこの課題の解決の為に、開業されたドクターです。

どこに問題があるかを分析し、90%をしめる軽症患者による救急車での二次救急病院の利用にあるところに着目され、いおうじ応急クリニックを開業されました。
需要と供給を分析し、需要に対応するサービスを提供するマーケットインの考え方です。

病院といえども精神論だけでは事業は成り立たず、ビジネスとして結果をだすことを重視され
救急車の出動回数の多い曜日、多い時間を分析され、ピークにあわせて、診療される曜日と時間を設定されています。実際、良雪先生が開業されてから、松阪に救急車出動回数は、6%ほど減少したそうです。
また採算面でも黒字経営をされています。

問題解決の為に仮説をたて検証し、ひとつひとつ課題を解決されていくスタンスは、大変勉強させていただきました。

またビジネスでいう顧客のニーズをより深く探るべく、救急での多い診療科目を分析すると
小児科が多かったそうです。

さらに深くニーズを下げるべく、病院に連れて行く保護者のインサイトを探ると
「体調の悪い子どもを病院の連れていく基準がわからない」ところにあると分かり
それを指導するところにも、注力されています。
実際、生後まもない赤ちゃんが、ミルクを飲んだあとゲップし嘔吐したので119をコールした事例があるそうです。これはよくあることですが、核家族社会で、相談できる人がまわりにいないため起こる例です。
こうした活動がクリニックのファンの拡大に繋がっているようです。

マーケティング、ブランディング、チームビルディング、それにCSRを具体的にバランスよく実現されいる経営センス、勉強させていただきました。

「理念と経営」を勉強する会らしく、救急医療の問題解決に立ち向かう先生の意欲の源について
出席者から質問がありました。
良雪先生は起業塾で勉強もされたそうです。そのなかで、モチベーションの源泉は、「成功体験」か
「強烈な怒り」と学ばれたそうで、先生は「強烈な怒り」が源泉になったとのことです。

「スーパードクターでなくても、志ある人なら参入できる仕組みを作りあげたい」

先生は師と仰がれる方から教えられた「人間の価値は志にあり」の言葉を胸に
救急医療の問題解決と、いおうじ応急クリニックの経営にあたられています。

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いおうじ応急クリニック  三重県松阪市久保町字1925
http://ioji.org/